ブライドルレザーを製造するタンナーとは

ちまたで人気のブライドルレザーを使用した革製品ですが、ブライドルレザーを製造する業者はたくさんあります。

今回は、塩原レザーで取り扱うブライドルレザーを製造する業者をご紹介したいと思います!

この記事をご覧いただきますと、以下の内容が分かります。

  • 「タンナー」という言葉について分かる
  • ブライドルレザーを製造する代表的な業者の歴史や特徴が分かる

本題に入る前に、この記事を書いている塩原レザーについてご紹介させていただければと思います。

2008年にブライドルレザーの専門店として塩原レザーは創業しました。

ブライドルレザーの本場である英国から、さまざまな業者が製造をした本物のブライドルレザーに触れてきました。

それぞれ同じブライドルレザーといっても、製造をする業者や部位によっても風合いや印象など素材感が異なります。

塩原レザーでは10年以上に渡って製品を毎日のように製作しており、製法にも拘って製品の製作を日々行っております。

なお、塩原レザーについてより詳しいページは下記のリンク先からご覧いただけます。

塩原レザーについて

ブライドルレザーを製造するタンナーとは

セドウィック社のブライドルレザーのベンズ部位のラウンドファスナー小銭入れ画像1

革を製造する業者のことを、よく「タンナー」や「タナリー」などと呼びます。

しかし、厳密に「タンナー」と呼ばれる業者は、革をなめす業者のことを挿します。

(革をなめすことに加えて、染色や仕上げ工程までを一貫して行う業者のこともタンナーと呼びます。)

革をなめすとは、生の皮を腐らない状態の革に加工をすることを言います。

なめした後の革に、染色や仕上げ工程をすること業者のことを、行う業種ごとにキャリアーやフィニッシャーなどと呼びます。

上記より、塩原レザーでは、ちまたで言われるタンナーとはあまり言わず「ブライドルレザーを製造する業者」と表現しています。

ブライドルレザーの聖地であるウォルソール駅

さて、本題ですがブライドルレザーの製造は世界中で行われています。

しかし、ブライドルレザーらしい表面にブルームが噴き出しているタイプは本場である英国に集中しています。

特に英国第2の都市でバーミンガムの近郊に、ウォルソールという町があります。

このウォルソールという町は、世界中で人気のブライドルレザーを製造するセドウィック社や馬具用品を製造するメーカーなども所在しています。

さらには、革の博物館があるなど今でも皮革産業が盛ん町で「ブライドルレザーの聖地」と呼ばれています。

ウォルソールのレザーミュージアム

しかし、近年はブライドルレザーの本場である英国であっても、本来の馬具の需要が減り業者が減りつつあるのが現状です。

その中でも、現存する製造業者は100年を超える伝統製法を忠実に貫くなど、完成度の高いブライドルレザーを製造しています。

セドウィック社

セドウィック社の看板画像

英国ウエストミッドランズ州のバーミンガム近郊の町ウォルソールに所在し、ブライドルレザーの人気とともに今ではトップシェアを誇るブライドルレザーの製造を得意とする業者です。

もともと家畜関係の仕事が盛んであったことからこの土地に革製品産業が盛んになり、創業は1900年の老舗キャリアです。

キャリアとはなめされた革を仕入れ、仕上げ前の加工を行った後に仕上げ工程を行う業者のことです。

特徴は独特の硬さやブラッシングで染み込ませ、時間を置くことで浮き出た独特のブルーム感が最大の特徴です。この代名詞とも言えるブライドルレザーは初心者から上級者の方までご満足いただけます。

また、ブライドルレザーのメンテナンス用のワックスも製造しており、シトラスの香料が入った人気のメンテナンス用品です。(小サイズ65mlと大サイズ500mlの2サイズを取り扱っています。)

なお、セドウィック社について、より詳しく解説をしたページはこちらにてご覧いただけます。

J.ベイカー社

J.ベイカー社の看板画像

英国デヴォン州の町ホニトンに所在する英国屈指の伝統を誇るタンナーです。

製法は2000年前のもので、1860年のJ.ベイカー社の創業よりも長い伝統の皮革と言われていて皮革業界、特に各タンナーにとっては伝説的なタンナーです。

しかし、伝統製法を貫いているため、生産性が低く入手が非常に困難な状況です。

大きな特徴は、とにかく革の芯までロウ分が染み込んでおり、トラが多いのも特徴で上級者向けの皮革です。

なお、J.ベイカー社について、より詳しく解説をしたページはこちらにてご覧いただけます。

メトロポリタン社

メトロポリタン社の看板画像

英国ノーザンプトンシャ―州の町、スラプトンに所在する約100年の伝統を誇るフィニッシャー。

フィニッシャーとは、なめされた革をタンナーから仕入れ、仕上げ工程を専門的に行う業者のことです。

創業1919年、ガスメーターに使用するパーツを製造を得意としている業者です。

戦争の影響による移転を繰り返しながら当時の従業員、現オーナーであるウィナード氏に所有が移り、厳密には皮革業界内のドレッサーのジャンルに属し、主に鞣された後の仕上げ作業を得意とする英国内の革製品製造メーカーからの信頼も高い業者です。

ベンズ部位、ショルダー部位によってそれぞれの特徴がございますが、それぞれの特徴が生きた風合いと表面はオイル分の多いブルームに覆われ、ベンズ部位、ショルダー部位ともに初心者から上級者の方までご満足いただけます。特に中級者以上の方にお持ちいただきたいレザーです。

なお、メトロポリタン社について、より詳しく解説をしたページはこちらにてご覧いただけます。

クレイトン社(現スパイヤ社)

クレイトン社の看板画像

英国ダービーシャー州の町チェスターフィールドに所在する160年の伝統を誇るタンナーです。

米国への移転など様々な歴史を乗り越え、現所在地に戻ってきた英国伝統の皮革を取り扱い、サムエルシャープ社が母体となっているタンナーです。

特徴はモダンタイプとトラディショナルなど複数のブライドルレザーを製造しており、モダンタイプはスプレーでうっすら蝋引き加工され、トラディショナルタイプは伝統的なブラシで蝋引き加工されています。

残念ながら、クレイトン社は現在、身売り状態となっているためこのまま廃業された場合にはデッドストックの革となり希少価値が非常に高くなる可能性があります。

現在は、スパイヤ社と名称を替え、ブライドルレザーの製造を引き続き継続されています!

なお、クレイトン社について、より詳しく解説をしたページはこちらにてご覧いただけます。

グレードレザー社

グレードレザー社のブライドルレザー画像1グレードレザー社のブライドルレザー画像2グレードレザー社のブライドルレザー画像3

英国ケント州の町マーゲイトに所在する20年の伝統を誇る比較的新しいタンナーです。

創業者グラハム氏のスペイン・バルセロナで修業を積んだ30年の経験を活かし英国にて創業しました。

英国伝統の馬具用皮革のなめしを得意にしていて、最上級部位であるベンズ部位を使用しているため、きめの細かい繊維質が特徴です。

さらにオイル感が革の内部なで染み込んでいて、表面は激しいブルームに覆われ独特のブラッシング跡が残っています。

この最高部位のベンズを使用したブライドルレザーは初心者から上級者の方までご満足いただけます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、表面にブルームが噴き出した英国のブライドルレザーを製造する業者について、ご紹介させていただきました。

各業者さんによって、ブライドルレザーの表情は大きく変わるので、製品の購入をご検討の方はご参考にしていただければと思います。

また、ブライドルレザーには部位がありそれぞれ風合いが異なります。

合わせて特集記事をご覧いただくことで、より知識が深まると思いますのでご興味がございましたらご覧ください。

ブライドルレザーの部位について

なお、塩原レザーでは、上記の各ブライドルレザーを使用した製品を販売しております。

このページの下記に製品別に販売ページをご用意しておりますので、よろしければご覧ください!