メトロポリタン社のブライドルレザーとは

日本ではあまり知られていませんが、ブライドルレザーの本場である英国では評価が高いメトロポリタン社。

英国の革製品メーカーからも信頼が厚く、日本に輸入されているブライドルレザー製品にこのメトロポリタン社の革が使われていることも多いです。

メトロポリタン社が本場で評価が高いのは、いったいなぜでしょうか。

結論から言いますと、基本的に受注生産制で革製品メーカーが希望するブライドルレザーを製造してくれるからです。

ということで、今回はメトロポリタン社についてブライドルレザーの専門店である塩原レザーの塩原朋和が詳しく解説します!

メトロポリタン社とは

メトロポリタン社の工場前の画像

メトロポリタン社は、英国の中南部ノーザンプトンチャー州の街スラプトンに所在する仕上げ工程を専門的に行う業者です。

スラプトンの街は決して大きな街ではありませんが、この街へバスで行く起点の街としてノーザンプトンがあります。

このノーザンプトンという街は、紳士靴の街として世界的に知られていて有名な紳士靴メーカーが多く所在しています。

ノーザンプトンのジョンロブ社の工場の画像

そういった背景もありこの地域一帯は、馬具の製造が盛んなウォルソールと並んで皮革産業がに盛んな地域となっています。

メトロポリタン社の創業は1919年で、約100年の歴史をフィニッシャーです。(ドレッサーとも言います。)

フィニッシャーとは、なめされた革を仕入れ、革の表面の染色や風合いの加工を専門とする業者のことです。

メトロポリタン社のロイ氏との記念撮影画像
英国大使館にご招待いただいた際にメトロポリタン社のロイ氏と記念撮影

正式名称は「METROPOLITAN LEATHER Co Ltd」と言い、日本では「メトロポリタン社のブライドルレザー」などと呼ばれています。

日本では希少な素材で、塩原レザーでは1等級で高価なベンズ部位をメインの素材として使用していることから、製品化した際のコバ(革製品の側面のこと)の仕上がりが美しく中級者以上向けのブライドルレザーです。

元々、ガスメーターに使用されている革のパーツの製造を得意としている業者で、戦争の影響による移転を繰り返しながら当時の従業員、現オーナーであるロイ・ウィナード氏に所有が移りました。

2013年にオーナーのロイ氏が日本に来日し、インタービューを映像に残しました。

ブライドルレザーについて、革の説明やメンテナンス方法など質問形式でお聞きしたのでご興味がございましたらご覧ください。

メトロポリタン社の工場の様子

メトロポリタン社の染色ブースの画像

メトロポリタン社は、工場としては決して大きくはありません。

これはタンナー(皮を革へとをなめす業者)とは違い、なめす際に使用されるピット槽など大規模な設備を必要としないからです。

また、大規模なタンナーなどとは異なりメトロポリタン社は、革製品メーカーなどから発注を受けてから革を仕上げる受注スタイルをとっています。

そのため革の在庫を種類別に保管する場所が必要ありません。

このような特性を持っているため、必要最低限の設備のみが備えられています。

色味の調整や表面の光沢具合など細かい仕上げ工程の希望を伝えて形にしてくれるので信頼度が高いブライドルレザーの製造業者と言えるのがご理解いただけると思います。

メトロポリタン社の蠟引き加工を行うブースの画像

上記の画像は、蝋引き加工を行うブースの画像です。

2014年にメトロポリタン社へ訪問し動画の撮影もしてきましたので、よろしければご参照ください。

メトロポリタン社が製造するブライドルレザーの特徴

メトロポリタン社ではブライドルレザーだけではなく、同じ牛革のサドルレザーや豚革などの製造も行っています。

上記でお伝えした通り、受注生産が基本となっているためメトロポリタン社の革を使用した製品だとしても、発注業者によって革の表面の色味や風合いは異なる場合があります。

塩原レザー以外または、他の情報をご覧いただいた際の特徴とは異なる場合があるので革の色味や風合いについて製品選びの際にご注意ください。

以下の情報は、塩原レザーが発注をしているブライドルレザーの詳細です。

革の特徴と部位や種類

 

・ショルダー部位

メトロポリタン社のブライドルレザーのショルダー部位

ショルダー部位は、1.5mmから4mm前後までの製造を行っていて、塩原レザーで取り扱う革の表面は透明感があり光沢もあります。

比較的に大判のショルダー部位のため、バッグなどの大型製品や革小物でも良い部分のパーツを選びやすいのが特徴です。

 

・ベンズ部位

メトロポリタン社のブライドルレザーのベンズ部位

ベンズ部位は、1.5mmから5mm前後までの製造を行っていて、塩原レザーで取り扱う革の表面は透明感があり光沢もあります。

4mmから5mm前後の厚みはベルトの素材に最適で、ベンズ部位特有の繊維の密度の濃さからも長くご使用いただける製品に仕上がります。

 

カラーサンプル

 

メトロポリタン社のカラーを調合するブースの画像

メトロポリタン社のカラーは先にお伝えした通り受注生産性であるため、いろいろな色味を指定でき光沢感やブルームの濃さなども特注できます。

色の調合には経験が必要で、革に染色をした際の完成イメージを行いながら、その時々の温度や湿気なども計算に入れて作業を行うそうです。

以下は、メトロポリタン社の代表的なカラーのサンプルです。

 

・ブラック

メトロポリタン社のブライドルレザーのブラックカラー画像

 

・ミッドナイトブルー

メトロポリタン社のブライドルレザーのミッドナイトブルーカラーの画像

 

・グリーン

メトロポリタン社のブライドルレザーのグリーンカラーの画像

 

・フォレスト

メトロポリタン社のブライドルレザーのフォレストカラーの画像

 

・アップル

メトロポリタン社のブライドルレザーのアップルカラーの画像

 

・ダークハバナ

メトロポリタン社のブライドルレザーのダークハバナカラーの画像

 

・オーストラリアンナット

メトロポリタン社のブライドルレザーのオーストラリアンナッツカラーの画像

 

・マホガニー

メトロポリタン社のブライドルレザーのマホガニーカラーの画像

 

・タン

メトロポリタン社のブライドルレザーのタンカラーの画像

 

・ヌード

メトロポリタン社のブライドルレザーのヌードカラーの画像

 

・タンジェリン

メトロポリタン社のブライドルレザーのタンジェリンカラーの画像

 

・オレンジ

メトロポリタン社のブライドルレザーのオレンジカラーの画像

 

・サンライズ

メトロポリタン社のブライドルレザーのサンライズカラーの画像

 

・サンド

メトロポリタン社のブライドルレザーのサンドカラーの画像

 

・レッド

メトロポリタン社のブライドルレザーのレッドカラーの画像

 

・パープル

メトロポリタン社のブライドルレザーのパープルカラーの画像

 

・バイオレット

メトロポリタン社のブライドルレザーのヴァイオレットカラーの画像

 

・ライラック

メトロポリタン社のブライドルレザーのライラックカラーの画像

 

ブルームの特徴

 

メトロポリタン社のブライドルレザーのブルームのサンプル画像

メトロポリタン社のブルームの特徴は、受注生産性であるため革が完成したと同時に発注元へと運搬されます。

そのため、入荷した直後は革の表面にブルームは噴き出しておらず、ブルームのもととなるグリースで覆われた状態です。

半年ほど保管をすると表面が白いブルームが噴き出してきます。

そして、1年ほど保管をすると表面の革の色が分からなくなる具合にブルームで真っ白になります。

総合的に一定の期間、保管をした状態のブルームは刷毛目の跡が残りブライドルレザーらしい見栄えになります。

メトロポリタン社製のブライドルグリース画像3

また、塩原レザーはこの仕上げ工程で実際に使用されているグリースを販売しています。

このグリースを使用して一定の期間、保管をすることで新品時のブライドルレザーのようにブルームが復活します!

※おすすめのご使用方法

同じ製品を複数お待ちいただき(名刺入れなら別の名刺入れなど)一定期間ご使用いただいた後に、ワックス掛けなどのメンテナンスを行っていただいた後に、このグリースを表面に塗り込み温度や湿度の安定した場所で保管をします。

そして、別の製品を使用してその製品をある程度、使用した段階でメンテナンス時期を迎えるので上記と同じ方法で行います。

先に保管をしている間にブルームが復活した製品を保管場所から取り出しまた使用します。

これを繰り返していただくことで、ブルームの好きな方はいつでも新品時のようなブルームが噴き出したブライドルレザー製品をご使用いただけます。

このブライドルグリースの販売ページはこちらから

まとめ

いかがでしたでしょうか。

メトロポリタン社のブライドルレザーは、こちらの希望のカラーと風合いに仕上げてくれる信頼度の厚い業者です。

特に塩原レザーで扱うベンズ部位のブライドルレザーは、繊維のキメが細かくコバが非常にきれいに仕上がります。

製品のご購入を検討中の方は、この情報をご活用いただければと思います。

なお、塩原レザーのメトロポリタン社製ブライドルレザーを使用した製品はこちらからご覧いただけます。