ブライドルレザーとは

2010年前後から爆発的な人気となったブライドルレザーを使用した革製品。

ブライドルレザーの専門店として2008年に創業し、10年以上に渡り毎日のように素材を観てきた塩原レザーの塩原朋和が徹底的に解説します!

ここ数年、日本では表面に蝋引き加工を施した「ブライドルレザー風」の革を“ブライドルレザー”として製造販売している革製品メーカーもあります。

本物のブライドルレザー製品をお求めの場合には、是非、このページをご参照いただき製品選びにご活用いただければと思います。

ブライドルレザーとは

セドウィック社での蝋引き加工画像

ブライドルレザーとは馬具用の皮革のことです。

馬具といっても座る部分の鞍(サドル)や手綱なども馬具ですが、主に帯状の馬具に使用される革のことを総称してブライドルレザーと呼び、革の厚みにより馬車と馬をつなぐ革をハーネス、手綱に使われる厚み革をレインと呼んだりします。

馬に装着したブライドルの画像

ブライドルレザーの名前の由来は、馬の顔周りに装着する「ブライドル」という馬具の名前からきています。

ブライドルレザーは、牛革の皮(スキン)をナチュラルタンニンなめし(皮から革への加工方法のひとつ)でなめされ、蜜ロウ、タロウ、植物性油などを混ぜたグリースを(簡単に言うとロウソクのロウみたいなもの)を最終段階でアイロンやブラシなどで革の表面に塗り込みんだものです。

古代からの伝統的なナチュラルタンニンなめしは、有害物質を使っていないので環境にやさしいなめし方で、それぞれ濃度の異なる大きな水槽に一定期間タンニンエキスに付けることで皮から革へと変化していきます。

クレイトン社のピット槽の画像
クレイトン社のピット槽(この水槽の中に革が1枚1枚漬けられています!)

生の皮の状態(スキン)から革(レザー)になるまでに長いものでは1年半もの期間が掛かり、皮革自体も非常に貴重(ブライドルレザー伝統のタンナーでしか良いものは作れません)なもので、群を抜いた価格で取引されています。

馬具の帯状の用具に使用される革類は世界中で製造されていますが、その中でも英国のブライドルレザーは、革の表面にブルームという白い蝋分が噴き出していて独特の風合いです。

ブルームの拡大画像

これは天候の変化が激しい英国の気候に耐えるために、革の表面にグリースを塗り、表面に浮き出るブルームによって雨などに対応する防水性や革の内部の水分を保つための役目を持って開発されました。

このブルームは、ご使用していただいている間に自然に取れていく使用方法が革にとっては一番良い方法だと思いますが、ブルームが気になるお客様は柔らかい布やブラシできれいに拭き取ってご使用ください。

なお、ブライドルレザーの表面にブルームの激しく噴き出しているもの、ほとんど噴き出していないものの革の内部まで油分、蝋分が染み込んだものまで様々で、これは各革の製造業者によっブライドルレザーという革の作り方が若干違うからです。

革の内部にブルームのもとであるグリースが染み込んでいると、一度ブルームが表面から消えても、触れずに数か月から半年ほど保管をしていると再びブルームが噴き出してきます。

2013年1月にブライドルレザー製造する英国のメトロポリタン社のオーナーであるロイさんが来日され、インタビューの撮影を行いました。

製造業者の方から直接「ブライドルレザーとはどのような革なのか」など、いろいろとお聞きしてまいりましたのでご参照いただければと思います。

ブライドルレザーの部位による違い

ブライドルレザーは基本的に1枚革を等級別に分割され、大まかにベンズ部位、ショルダー部位、ベリー部位があります。

これらの部位の違いは、革の使用する用途によって大まかに別れそれぞれの業界で使用されています。

革製品の材料としては、ベルトなどの帯状の製品にはベンズ部位、その他の財布などにはショルダー部位が使用されています。

以下の説明は、各部位のそれぞれの特徴です。

 ベンズ部位

 

ベンズ部位の画像

ベンズ部位は背中から腰部分にかけての部位で繊維が細かく非常に丈夫なことから、主に馬具のベルト状の製品に使用されます。

塩原レザーでは、主にベルト類にベンズ部位を使用しています。

 

 ショルダー部位

 

ショルダー部位の画像

ショルダー部位は、繊維が太く5mmほどの革を1mmほどに薄く加工をしても硬さが維持されることから、バッグや財布などの革製品に使用されます。

塩原レザーでは、ビジネスバッグや財布などほとんどの製品に使用しています。

 

 ベリー部位

 

トーマスウエア社のベリー部位の画像2

ベリー部位は繊維が粗く折り曲げなどに弱いことから、基本的に革製品には使用されません。

英国では伝統的に革製の壁材や床材に使用されることがあり、そのような材料として使用されています。

ブライドルレザーを製造する業者

ブライドルレザーの製造は世界中で行われていますが、ブライドルレザーらしい表面にブルームが噴き出しているタイプは本場である英国に集中しています。

特に馬具用品を製造するメーカーなども所在する英国第2の都市でバーミンガムの近郊のウォルソールという町は革の博物館があるなど今でもブライドルレザーの聖地と呼ばれています。

しかし、近年は本場である英国であっても、本来の馬具の需要が減り業者が減りつつあるのが現状です。

その中でも、現存する製造業者は100年を超える伝統製法を忠実に貫くなど、完成度の高いブライドルレザーを製造しています。

セドウィック社

 

セドウィック社の看板画像

英国ウエストミッドランズ州のバーミンガム近郊の町ウォルソールに所在し、ブライドルレザーの人気とともに今ではトップシェアを誇るブライドルレザーの製造を得意とする業者です。

もともと家畜関係の仕事が盛んであったことからこの土地に革製品産業が盛んになり、創業は1900年の老舗キャリアです。

キャリアとはなめされた革を仕入れ、仕上げ前の加工を行った後に仕上げ工程を行う業者のことです。

特徴は独特の硬さやブラッシングで染み込ませ、時間を置くことで浮き出た独特のブルーム感が最大の特徴です。この代名詞とも言えるブライドルレザーは初心者から上級者の方までご満足いただけます。

また、ブライドルレザーのメンテナンス用のワックスも製造しており、シトラスの香料が入った人気のメンテナンス用品です。(小サイズ65mlと大サイズ500mlの2サイズを取り扱っています。)

なお、セドウィック社について、より詳しく解説をしたページはこちらにてご覧いただけます。

 

J.ベイカー社

 

J.ベイカー社の看板画像

英国デヴォン州の町ホニトンに所在する英国屈指の伝統を誇るタンナーです。

製法は2000年前のもので、1860年のJ.ベイカー社の創業よりも長い伝統の皮革と言われていて皮革業界、特に各タンナーにとっては伝説的なタンナーです。

しかし、伝統製法を貫いているため、生産性が低く入手が非常に困難な状況です。

大きな特徴は、とにかく革の芯までロウ分が染み込んでおり、トラが多いのも特徴で上級者向けの皮革です。

なお、J.ベイカー社について、より詳しく解説をしたページはこちらにてご覧いただけます。

 

メトロポリタン社

 

メトロポリタン社の看板画像

英国ノーザンプトンシャ―州の町、スラプトンに所在する約100年の伝統を誇るフィニッシャー。

フィニッシャーとは、なめされた革をタンナーから仕入れ、仕上げ工程を専門的に行う業者のことです。

創業1919年、ガスメーターに使用するパーツを製造を得意としている業者です。

戦争の影響による移転を繰り返しながら当時の従業員、現オーナーであるウィナード氏に所有が移り、厳密には皮革業界内のドレッサーのジャンルに属し、主に鞣された後の仕上げ作業を得意とする英国内の革製品製造メーカーからの信頼も高い業者です。

ベンズ部位、ショルダー部位によってそれぞれの特徴がございますが、それぞれの特徴が生きた風合いと表面はオイル分の多いブルームに覆われ、ベンズ部位、ショルダー部位ともに初心者から上級者の方までご満足いただけます。特に中級者以上の方にお持ちいただきたいレザーです。

なお、メトロポリタン社について、より詳しく解説をしたページはこちらにてご覧いただけます。

 

トーマスウェア社

 

トーマスウエア社の看板画像

英国有数の都市ブリストルに所在する170年以上の歴史を誇る大規模なタンナーです。

世界遺産の候補にも上がる同市内の最古の鉄道駅であるテンプルミール駅の開業と同じ、1840年に創業し、100槽を超える大規模のピット槽を有しています。

鞣し業務だけではなく仕上げ業務も行うタンナーでブリストル市内を流れるエイボン川に沿い、ドレッサー向けの革の鞣し以外にも靴のソール革や産業向けの革や馬具用の革の製造も得意としています。

なお、トーマスウェア社について、より詳しく解説をしたページはこちらにてご覧いただけます。

 

クレイトン社

 

クレイトン社の看板画像

英国ダービーシャー州の町チェスターフィールドに所在する160年の伝統を誇るタンナーです。

米国への移転など様々な歴史を乗り越え、現所在地に戻ってきた英国伝統の皮革を取り扱い、サムエルシャープ社が母体となっているタンナーです。

特徴はモダンタイプとトラディショナルなど複数のブライドルレザーを製造しており、モダンタイプはスプレーでうっすら蝋引き加工され、トラディショナルタイプは伝統的なブラシで蝋引き加工されています。

残念ながら、クレイトン社は現在、身売り状態となっているためこのまま廃業された場合にはデッドストックの革となり希少価値が非常に高くなる可能性があります。

なお、クレイトン社について、より詳しく解説をしたページはこちらにてご覧いただけます。

 

グレードレザー社

 

グレードレザー社のブライドルレザー画像1グレードレザー社のブライドルレザー画像2グレードレザー社のブライドルレザー画像3

英国ケント州の町マーゲイトに所在する20年の伝統を誇る比較的新しいタンナーです。

創業者グラハム氏のスペイン・バルセロナで修業を積んだ30年の経験を活かし英国にて創業しました。

英国伝統の馬具用皮革のなめしを得意にしていて、最上級部位であるベンズ部位を使用しているため、きめの細かい繊維質が特徴です。

さらにオイル感が革の内部なで染み込んでいて、表面は激しいブルームに覆われ独特のブラッシング跡が残っています。

この最高部位のベンズを使用したブライドルレザーは初心者から上級者の方までご満足いただけます。

 

塩原レザーで主に扱うブライドルレザーの比較表

ブライドルレザーの製造は明確な取り決めはなく、あくまで馬具の各用品の革として使用できることが条件となっております。

それにより、製造する業者によってブライドルレザーの風合いなどは異なります。

塩原レザーでは、革製品にバランスが取れたセドウィック社製ブライドルレザーのショルダー部位を基準に硬さなどを表現しております。

セドウィック社製ブライドルレザーのショルダー部位の特徴は以下の通りです。

  • 表面の風合い:トラや血筋の跡など気になる場合もありますが、基本的には非常にきれいな表面です。
  • ブルームの状態:入荷時期などによって異なりますが、表面にグリースの層があり保管期間が長くなればなるほどブルームは濃くなります。
  • 繊維の密度:ショルダー部位の標準的な繊維構成です。
  • 革の硬さ:非常に硬く張りがあります。
  • エイジングによる変色:ブラックなど色が濃い場合はほぼエイジングによる変色はありませんが、明るいブラウン系の色やレッドは徐々に濃くなります。
  • エイジングによる光沢感と艶:色が濃淡に関係なく、革の表面が擦れるにつれエイジングによるきれいな艶と光沢感が増します。

※各革の製造業者でも、仕上げ工程などで特注の仕上げ方を行った場合は風合いが異なります。

例えば、上記のセドウィック社製ブライドルレザーのショルダー部位でも、革の芯まで表面の色を染めて仕上げる「芯通し」の仕上げを行った場合は革の硬さや張りが異なります。

その他、塩原レザーで扱う各業者のブライドルレザーの印象は、国内の革製品メーカーで特注仕様の場合があるので風合いや印象が異なる場合があります。

上記の基準をもとに塩原レザーで扱う各ブライドルレザーの特徴の比較表です。

名称セドウィック社セドウィック社J.ベイカー社メトロポリタン社トーマスウエア社クレイトン社クレイトン社グレードレザー社
部位ショルダーベンズバックベンズショルダーショルダーベンズベンズ
入荷時の厚み
(ミリ単位)
2.5/3.03.5/4.55.53.5/4.01.5/3.02.03.0/4.03.5/4.0
繊維の密度
革の硬さ
(1mm厚の場合)
表面の張り
表面の美しさ
表面のワイルド感
新品時の表面の艶
新品時の表面のブルーム
経年変化による変色
濃い色(黒など)
経年変化による変色
淡いの色(キャメル等)
経年変化による艶
バッグ類への適応
財布類への適応
小物類への適応
ベルトへの適応

 

あなたにおすすめのブライドルレザー

塩原レザーは創業時からブライドルレザーの専門店として、毎日素材を観察してきました。

そして、多くのお客様のご質問をいただき10年以上の経験から下記の各項目別におすすめの素材をご提案させていただければと思います。

ご購入時の素材選びの際にはご参考にしていただければ幸いです。

 

素材の風合いから選ぶ

 

セドウィックのブライドルレザーのベンズ部位のチョコのラウンドファスナー長財布-1

 

◇初心者の方や「これぞブライドルレザー」という印象のブライドルレザーをお好みの方におすすめ

→ セドウィック社製ブライドルレザーのショルダー部位を使用した製品

 

◇最大の特徴であるブルームが革の表面を覆うブライドルレザーをお好みの方におすすめ

→グレードレザー社製ブライドルレザーまたは保管期間が長い各種ブライドルレザー

※塩原レザーの既製品の販売ページは、実際にお届けする製品の画像を掲載しております。

ブルームの状態は画像でご確認できますので、各製品の販売ページをご参照いただきお好みの状態の製品をお選びいただければと思います。

 

◇バランスの取れたセドウィック社製ブライドルレザーのショルダー部位よりも高価な素材をお好みの方におすすめ

→ セドウィック社製ブライドルレザーまたはメトロポリタン社製ブライドルレザーのベンズ部位を使用した製品

 

◇革の表面がマットな風合い(ブルームが取れた後の状態)のブライドルレザーをお好みの方におすすめ

→クレイトン社製ブライドルレザー

 

◇革の表面に天然素材らしい血筋の跡やシワの風合いがあるブライドルレザーをお好みの方におすすめ

→トーマスウエア社製ブライドルレザーまたはクレイトン社製ブライドルレザー、グレードレザー社製ブライドルレザー

 

◇ベルトの購入をご検討の方で硬い革がお好みの方におすすめ

→ セドウィック社製ブライドルレザーのベンズ部位

 

◇ベルトの購入をご検討の方で柔らかめの革がお好みの方におすすめ

→ J.ベイカー社製ブライドルレザー

 

その他、製品の完成具合から選ぶ

 

ホーウィンのコードバンのバーボンの二つ折り財布(小銭入れ付き)-3

 

◇日本では流通量の少ない希少なブライドルレザーをお好みの方におすすめ

→メトロポリタン社製ブライドルレザーのショルダー部位またはベンズ部位

 

◇コバ(製品の側面部分)の仕上がりがスムースできれいなブライドルレザーをお好みの方におすすめ

→各ブライドルレザーのベンズ部位またはセドウィック社製ブライドルレザーのショルダー部位

 

◇革の床面(背面)が表面と同じ色で仕上げられている製品をお好みの方におすすめ

→トーマスウエア社製ブライドルレザーまたは「芯通し」された各種ブライドルレザー

※床面とは、ブルームが噴き出している表面とは異なる背面側の面のこと。

なお、セドウィック社のブライドルレザーの床面は生成り色(肌色)です。

※芯通しとは、表面の色味を床面まで染めている加工のこと。

なお、芯通し加工を施したブライドルレザーは柔らかい印象になります。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか!?

巷で人気のブライドルレザーの革製品ですが、細かい話を始めると奥深い素材です。

今、製品の購入をご検討いただいている方からこれからご検討いただく方までご参考にしていただければと思います。

なお、ブライドルレザーは天然素材のため、日頃のメンテナンスを行っていただくことでより長く良い状態でご使用いただけます。

ご興味がございましたら、メンテナンス方法の特集記事などもご参照いただければと思います。(ただいま、サイトリニューアル中につき、徐々に特集記事を掲載しています。)