2010年前後から爆発的な人気となったブライドルレザーを使用した革製品。
しかし、その人気で日本では表面に蝋引き加工を施した「ブライドルレザー風」の革を“ブライドルレザー”として製造販売している革製品メーカーもあります。
上記より、今回はブライドルレザーの専門店として2008年に創業し、10年以上に渡り毎日のように本物の素材を観てきた塩原レザーの塩原朋和がブライドルレザーについて解説します!
この特集記事を最後までご覧いただきますと、以下の内容が分かります!
- ブライドルレザーとは
- ブライドルレザーの偽物には注意が必要
- 人気にあやかった偽物のブライドルレザー
- 蝋引き加工されていない本物のブライドルレザー
- 英国の伝統製法を用いた本物のブライドルレザー
はじめて当サイトへお越しいただいた方もいると思います。
本題に入る前に、この記事を書いている塩原レザーについて簡単にご紹介をさせていただければと思います。
2008年にブライドルレザーの専門店として塩原レザーは創業しました。
2016年からはコードバンを定番素材に加え、ブライドルレザーとコードバンの専門店として運営しております!
コードバンもブライドルレザーも、革を製造をする業者や仕上げ方法によって、風合いや印象など素材感が異なります。
塩原レザーでは10年以上に渡って製品を製作しており、素材や製品について最前線で日々観察をしているので信用していただける内容だと思います。
なお、塩原レザーについてより詳しいページは下記のリンク先からご覧いただけます。
ブライドルレザーとは
ブライドルレザーとは、馬具に使用される牛革のことです。
馬具といっても座る部分の鞍(サドル)や手綱なども馬具ですが、主に馬具のベルト状の用品に使用される革のことを、総称してブライドルレザーと呼びます。
また、英国で製造されたブライドルレザーは、革の表面に白く油脂成分が固形化した「ブルーム」が噴き出しているのが特徴です。
このブルームは、ぶどうの表面に現れるものと同じように、中の水分を外へ逃げないように開発された製法です!
ちまたでは「革の表面に蝋引き加工をされた革をブライドルレザーと言う」と説明されていることがありますが、それは間違いです!
なお、本場である英国ではブライドルレザーと言っても、部位がありそれぞれ特徴が異なります。
また、革の形状や厚みによっても呼び名が変わります!
ブライドルレザーの専門店である塩原レザーでは、主に英国のブライドルレザーを使用し、革を製造する業者とも定期的に連絡を取り合っています。
それらの業者さんとの会話では、馬車と馬をつなぐ革をハーネスウエイト、手綱に使われる厚み革をレインウエイトなどと呼びます。
また、部位によって等級が決められおり、肩の下から腰までの部位をベンズ部位、肩周りの部位をショルダー部位、お腹の下側をベリー部位と呼びます。
ブライドルレザーの名前の由来は、馬の顔周りに装着する「ブライドル」という馬具の名前からきています。
ブライドルレザーは、牛革の皮(スキン)をナチュラルタンニンなめし(皮から革への加工方法のひとつ)でなめされます。
「ナチュラルタンニンなめし」とは、有害物質を使っていないので環境にやさしいなめし方で、古代から伝統的に用いられる製造です。
それぞれ濃度の異なるタンニンエキスの入った水槽に、一定の期間、漬けることで皮から革へと変化していきます。
生の皮の状態(スキン)から革(レザー)になるまでに、長いものでは1年半もの期間が掛かります。
上記より、ブライドルレザーを製造するには多くの期間と場所が必要で、革の中では高級革の部類に入ります。
なお、2013年1月にブライドルレザー製造する英国のメトロポリタン社のオーナーであるロイ氏が来日されました。
その際に、インタビューの映像を残しましたので、よろしければ下記の動画をご参照ください。
ブライドルレザーの偽物には注意が必要!
ここ数年、革製品で一番人気の素材といっても過言ではないブライドルレザー。
その人気にあやかり「ブライドルレザー風」の革を、本物のブライドルレザー製品として販売されていることがあるので注意が必要です!
実際に馬具に使用されているブライドルレザーでも、上記のように革の表面にブルームが噴き出していない本物のブライドルレザーもあります。
これは「本物のブライドルレザー」の明確な定義がなく、革を製造する国や地域の気候などが異なり、革に求められる特徴が異なるからです。
10年以上に渡って本物のブライドルレザーを見てきた塩原レザーでは、「馬具のベルト状の用品に使用されてきた十分な耐久性がある皮革」を本物のブライドルレザーと定義しております。
現在、日本国内で販売されているブライドルレザー製品を大きく分けると、以下のように3つの部類に区別ができます。
人気にあやかった偽物のブライドルレザー
ここ数年のブライドルレザー人気にあやかった、偽物のブライドルレザーには注意が必要です。
これは表面に蝋引き加工を施しただけの革です!
ブライドルレザーの特徴である革の張りや硬さなどの風合い、耐久性が異なります。
ひどい製品ですと、牛革ではない他の動物の革や人工皮革を使用したものもあります!
蝋引き加工されていない本物のブライドルレザー
ベルト状の馬具に使用される皮革は、世界中で製造されています。
例えば、アメリカのハーマンオーク社という規模の大きいタンナーなどでも、本物のブライドルレザーが製造されています。
しかし、ハーマンオーク社のブライドルレザーは、西部劇などの舞台で有名なアリゾナ州など、厳しい砂漠の環境などで使用されることも想定され製造しています。
英国のブライドルレザーのように、表面にブルームの素となるグリースを塗り込むと、熱でグリースが液状化して使い勝手が悪くなります。
そのような環境で使用するブライドルレザーは、使用する環境の特性のため、表面にはグリース掛けをされておりません。
英国の伝統製法を用いた本物のブライドルレザー
上記の画像のように、表面に白くブルームが浮いたブライドルレザーは、主に英国の特有の気候に合わせた伝統製法で作られたものです。
これは雨が多いなど厳しい英国の気候に革の繊維が耐えるために、革の表面にブルームの素となるグリースをブラシなどで塗り込んでおります。
一定の期間、保管をすることで表面に浮き出るブルームによって、雨などに対応するための防水性や革の内部の水分を保つことができます。
これらの表面にブルームが噴き出したブライドルレザー製品をご希望の場合には、英国で製造されたブライドルレザー製品をおすすめします。
特にはじめてブライドルレザー製品を選ぶ場合には、偽物を手にしないためにも「セドウィック社」などブライドルレザーを製造した業者が記載されている製品をおすすめします!
下記のリンク先では、英国で製造されているブライドルレザーの製造業者を紹介した特集記事です。
偽物のブライドルレザー製品を手にしないためにも、是非、ご参照いただければと思います!
まとめ
いかがでしたでしょうか!?
今回は、ブライドルレザーという革について、解説をさせていただきました。
なお、ブライドルレザーについて、総合的にまとめた百科事典ともいうべきページもございますので、よろしければご覧ください。。
各種ブライドルレザーの製品販売ページは下記からご覧いただけます。
また、2024年10月より既製品の販売から、オーダー受注製産制に移行いたしました。