財布など革製品を購入するときに、ブライドルレザーとコードバンの素材選びに迷う方が多いです。
製品の価格も違えば、革の特徴も違うので迷う気持ちは分かります。
しかし、答えは簡単です!
結論から先にお伝えをすると、コードバンとブライドルレザーを使用したコンビネーション財布が一番良い選択です!
その根拠を様々な視点から、今回新たに製作をした二つ折り財布と共に塩原レザーの塩原朋和が解説します。
なお、初めて当サイトにお越しいただいた方もいらっしゃると思います。
当サイトを運営している塩原レザーについて、下記に詳細ページがございますのでよろしければご覧ください!
コードバンとブライドルレザーの極上コンビ
コードバンもブライドルレザーも高級素材であり、近年1、2を争う人気の素材です。
財布などを購入する際に、コードバン素材にしようかブライドルレザー素材にしようか迷う方が多いという話をよく聞きます。
どちらの素材にも特徴があり、メリットもあればデメリットもあります。
革の価格自体が大きく違う
目安として、ホーウィン社のコードバンはセドウィック社のブライドルレザーに比べて、革の価格自体が約10倍違います。
コードバンに拘って、内側素材もコードバン仕様の製品は、二つ折り財布で10万円前後が妥当な価格です。
かつての「バブル景気」と呼ばれる世の中であればまだしも、今の日本では予算を組める方も少ないのではないでしょうか。
予算にゆとりがある方はそのような仕様でも“あり”と言いたいところですが、実は一概にそうとも限りません。
コードバンは本当に強い素材なのか
一般的に“コードバンは強い素材”という認識が出回っています。
しかし、それはどの部分において強いのか?
そこが大きな問題です。
今回、1番お伝えしたいのは、内側素材として使用するために革を薄くしても強いのかということです。
結論を言うと、薄くしたコードバンは決して強くはありません!
コードバンを内側素材として使用するには、革の厚みを元厚の半分以下にする必要があります。
(1mm厚以下に薄く漉いて、パーツとして使用しなめれば使い勝手が非常に悪くなります。)
その薄さにしてもコードバン素材は強いのかと問われれば、決して強くはありません。
紙をやぶくように簡単に破けてしまいます!
それは繊維が牛革などのように横に走っているのではなく、革の表面から裏側に向かって走っているからです!
薄く漉いてしまうと繊維が切断され、弱くなってしまうのです。
対処法として、極限まで薄くし背面側に芯材や裏革を当てる製法があります。
しかし、このような仕様にしてしまうと、元々もっているコードバンの素材感が失われてしまいます。
本来のコードバンの素材感を味わうには1mm以上の厚みが必要です。
内側素材はブライドルレザーが最適
一般的に皮革素材は、食肉の副産物として利用されています。
牛革は世界中で日々消費されているため原皮の流通量も多く、供給が安定しているためコードバンに比べて安価です。
ブライドルレザーは“牛革の王様”と評され、牛革の中ではもっとも高価な部類に入る素材です。
単に高級な牛革を、高価なコードバンに合わせれば良いという意味ではありません。
ブライドルレザーはもともと馬具用の素材に開発をされた頑丈な革であり、馬との関わりは約1000年になります。
そして、先にお伝えしたように牛革は繊維が横に走っているため、薄く漉いても繊維が極端に弱くなることはありません。
一番人気のオイル仕上げのコードバンは、他の仕上げ方法のコードバンに比べて柔らかい素材です。
この素材に硬くて丈夫なブライドルレザーを内側の素材として合わせることで、製品の型崩れを防止してくれます。
こういった要因からコードバンとブライドルレザーのコンビネーションは、価格面においても、製品の耐久性と言う意味でも最高の組み合わせだと提唱しています。
なお、塩原レザーのコードバン製品は、基本的にすべて内側がブライドルレザーの仕様です。
本体外側素材はコードバン
ここからは今回新たに製作をした外側にコードバン、内側にブライドルレザーを合わせた二つ折り財布を紹介していきます。
外側素材は、コードバンの中でもしなやかさを持つオイル仕上げのコードバンを採用しました。
このコードバンは世界中でコアなファンがおり、独特の風合いが人気のホーウィン社のシェルコードバンです。
オイル仕上げのコードバンは、オイルが浸透していることによる影響から各カラーへの染まりにくさがあり、そのパーツごとに色味の濃淡差があります。
そして、表面にオイル分が出てくるとマットな風合いになる特徴的な素材です。
製品を日常的に使用をしていると革の表面が研磨されより光沢感が強くなります。
こういった要因から素材を育てているような気分になり、多くのコアなユーザーを魅了しています。
今回使用したこのグリーン色のパーツは、艶感がよくコードバンらしさが出た良いパーツです。
色味はやや淡い印象ですが、濃すぎるとブラックのような見た目になってしまうので、グリーン色をお探しの方にはちょうど良い色味だと思います。
なお、コードバンについて細かく解説をした特集記事がございますので、よろしければご覧ください。
内側素材はブライドルレザー
内側素材は、英国の伝統皮革である本物のブライドルレザーを採用しました。
先にお伝えした通り、薄く漉いても特徴である張りの良さと独特のコシの良さを持っています!
1番薄いパーツは、0.7mm厚まで漉いてパーツにしていますが、素材の特徴から革の裏側に芯材も裏革も当てていません。
裏側は繊維がむき出しになっているため、各パーツは専用の溶剤で磨いているためスムースな触り心地で引っ掛かりもありません。
内側素材としては極上すぎるほどの素材ですが、高級財布としては最高の素材です!
このブライドルレザーについて、詳しく解説をした特集記事がございますのでよろしければご覧ください。
今回のブライドルレザー素材は、英国の名門と評されるセドウィック社のブライドルレザーを採用しています。
革の表面には、ブライドルレザーの特徴であるブルームが噴き出しています!
これは一部の野菜や果実と同じように乾燥を防ぐために表面を蝋分で覆い、内部から水分の流出を防いでいます。
なお、このブルームについて詳しく解説をした特集記事がございますのでご興味がございましたら、下記のリンク先にてご覧ください。
完成した極上二つ折り財布
コードバンとブライドルレザーの最高タッグで仕立てられた二つ折り財布が完成しました。
なお、今回の逸品のカラーはグリーン色です!(内側のカラー規格はダークグリーン色です。)
外側はコードバン特有の光沢感を放ち、内側のブライドルレザーは表面がブルームで覆われていて、各素材の特徴が大きく出ています。
そして、革素材だけではなく革の端部分の仕上げは「切り目本磨き」という手間と技術を要する職人仕様の製法です。
さらに内側の小銭入れ部分に採用しているバネホックは、イタリアのフィオッキ社の高級ホックを採用しています。
凹パーツには「FIOCCHI ITALY」の刻印があり、凸パーツは挽き物仕様で高級感があります!
この極上の二つ折り財布は、早速、当サイトにて販売を開始いたしました。
ご興味がございましたら、販売ページもご覧いただければと思います。
なお、販売ページにて「在庫切れ」の場合がございます。
革の在庫がある場合には、同じ仕様にてご案内できます。
1週間ほどお時間をいただければ発送準備が整いますので、お気軽にお問い合わせください。