コードバンの経年変化について

コードバン製品を使用する魅力の1つに経年変化があります。

素材の特性から徐々に革が製品として馴染み、ユーザー色に染まっていく姿が、製品を育てる感覚となる方も多いです。

これから、その魅力を体感してみたいと思われる方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回はコードバンの経年変化について、専門店である塩原レザーの塩原朋和が解説したいと思います!

この特集記事を最後までご覧いただきますと以下の内容が分かります!

・コードバンの経年変化は種類で変わる

・10年使用したコードバン製品

・オイル仕上げコードバンの経年変化

・染料仕上げコードバンの経年変化

顔料仕上げコードバンの経年変化

はじめて当サイトへお越しいただいた方もいらっしゃると思います。

本題に入る前に、この記事を書いている塩原レザーについて簡単にご紹介をさせていただければと思います。

2008年にブライドルレザーの専門店として塩原レザーは創業しました。

2016年からはコードバンを定番素材に加え、ブライドルレザーとコードバンの専門店として運営しております!

コードバンもブライドルレザーも、革を製造をする業者や仕上げ方法によって、風合いや印象など素材感が異なります。

塩原レザーでは10年以上に渡って製品を製作しており、素材や製品について最前線で日々観察をしているので信用していただける内容だと思います。

なお、塩原レザーについての詳細は、下記のリンク先にてご覧いただけます!

塩原レザーについて

コードバンの経年変化は種類で変わる

オイル仕上げと顔料仕上げのコードバン

コードバンの経年変化については、オイル仕上げや顔料仕上げの種類によって風合いは大きく変わります。

また、コードバンを製造する業者によっても、革の表面の加工方法が異なるため、その風合いが変わる場合もあります。

一般的にオイル仕上げや染料仕上げのコードバンは、ご使用いただく期間が長くなれば長くなるほど、天然素材の独特の風合いを味わうことができます。

しかし、顔料仕上げコードバンは、革の表面を顔料で覆い、耐久性を高めているため、見た目であまり経年変化を実感しにくいです。

そして、日頃のメンテナンス方法によっても、経年変化の表情が大きく変わります。

上記の画像は、左側がオイル仕上げコードバンで右側が顔料仕上げコードバンを使用したシンプル名刺入れです。

新品の状態からすでに仕上げ方の違いによって、見た目の光の反射具合や風合いが異なります。

コードバンの経年変化を楽しみながら製品を使用したいと思われる方は、そのコードバンがどのように経年変化していくのかを事前に確認することをおすすめします!

なお、コードバンの種類について解説をした特集記事がございますので、よろしければご覧ください。

コードバンとは

10年間使用したコードバン製品

10年使用したコードバンの靴

素材:ホーウィン社製シェルコードバン

仕上げ:オイル仕上げ

色:#8(バーガンディ)

使用年数:約10年

用途:ビジネス&カジュアル

使用頻度:月に2,3回程度

手入れ頻度:2か月に一度ぐらいの間隔で、使用による折れ曲がり部分の保革と補色の手入れと、保管が長い場合の保革を目的にした手入れを併用

10年使用した靴の拡大画像

上記の画像は、使用開始から約10年が経過したオイル仕上げコードバンの靴です。

毎日履いている訳ではありませんが、革は良い状態を維持できていると思います。

これは履いても履かなくても、定期的に手入れを行っているからだと思います。

長く使用をしない場合でも湿度の増減などにより、革が割れることがあるため手入れを行っています。

なお、オイル仕上げコードバンの独特の風合いと言える特徴が表れています。

退色が起こりやすい甲の折れ曲がる部分は、元々のバーガンディ色からブラウンに近い見栄えになっています。

新品の色味を維持しようと思えば、濃いめのカラーが混入したクリームやワックスを併用しますが、あえて最低限の色味を補色しているためこの見栄えです。

また、折れ曲がる部分は繊維が荒れやすいため意識をして手入れをしているので、現状は割れるようなことはない状態です。

このまま長く保管をしても、革が割れないように保革をすることで数十年は良い状態で使えます。

オイル仕上げコードバンの経年変化

エイジング2週間目の本体外側

オイル仕上げコードバンの経年変化は、非常に奥深いのが特徴です。

また、厳密に言うとオイル仕上げコードバンの中にも種類があります。

革を製造する際の最終工程で、表面に艶を出すグレージング加工を行っているかいないかによって大きく変わります。

このグレージング加工と呼ばれる、革の表面を鉱物であるメノウやガラス棒で艶を引き出したタイプは、経年変化によって極端に光沢感が増すことはありません。

逆に、グレージング加工を行わず表面がマットなタイプは、日頃のご使用による摩擦によって、使い始めとは大きく表情が変わり光沢感が増してきます。

共通して言えることは、革に油脂成分を多く染み込ませ柔軟性があるため、製品に収納するカードの収納量などによって変形しやすいです。

カードなどを多く収納している場合には、その部分が大きく盛り上がり、表面は摩擦によって光沢感が出やすく、摩擦が起きにくい部分は曇りやすくなります。

また、日頃の手入れ用品の種類によってもその表情が異なり、製品を使うユーザーによって経年変化が変わる奥深い素材と言えます。

日頃から育てる感覚で製品を使用し、経年変化も楽しみたい方にはおすすめのコードバンだと思います!

なお、実際にオイル仕上げコードバンの製品を使用し、経年変化の状態をより詳しく紹介している特集記事がございますので、よろしければご覧ください。

オイル仕上げコードバンのエイジング日記

染料仕上げコードバンの経年変化

エイジング1か月目のカードケース

染料仕上げコードバンの経年変化は、オイル仕上げ同様に革の表面が活かされているため、独特の天然素材の風合いが楽しめます。

しかし、革を製造する工程で、革の内部のオイル分は必要最低限を浸透させている場合が多いため、コードバン素材自体が硬く、製品が折れ曲がる部分にはシワが現れます。

また、オイル仕上げのコードバンほど表面の色味の退色はしないため、どちらかと言えばブライドルレザー製品に近い経年変化をします。

生成り色やキャメルなどの淡いカラーの場合は、経年変化によって徐々に色味が濃くなるのも染料仕上げコードバンの特徴です。

経年変化をしても、硬くて張りがあって型崩れを起こしにくいですが、革の繊維が水分を吸収しやすいため、一部分に水分を含むとその部分だけ跡が残ります。

この現象のことを「ブク」と呼び、水ぶくれ跡のことを言います。

製品が硬くパリッとした風合いがお好きな方には、この染料仕上げコードバンがおすすめです!

なお、実際に染料仕上げコードバンの製品を使用し、より詳しく経年変化の状態を紹介している特集記事がございますので、よろしければご覧ください。

染料仕上げコードバンのエイジング日記

顔料仕上げコードバンの経年変化

顔料仕上げコードバンのエイジング

顔料仕上げコードバンの経年変化は、見た目ではあまり変化を感じにくいのが特徴です。

これは革の表面に耐久性を持たせるため、顔料や仕上げ剤で表面が覆われているからです。

仕上げ剤などによって表面に膜を張る加工に仕上がっていますが、上記の画像のように鏡面になっているものからマットなものもあります。

マット仕上げのタイプは、日頃のご使用による摩擦によって、光沢感が増してくる場合があります。

この特徴的な仕上げ方法によって、天然素材の風合いはあまり感じることがないかもしれませんが、手入れは比較的に簡単です。

もともと、耐久性が高くなるように開発されたコードバンであることから、表面を湿ったクロスなどで汚れを拭き取るだけでも新品のような風合いを維持できます。

どちらかと言えば、新品の風合いが好きで、日頃の手入れを行いたくない方におすすめのコードバンです。

なお、実際に顔料仕上げコードバンの製品を使用し、より詳しく経年変化の状態を紹介している特集記事がございますので、よろしければご覧ください。

顔料仕上げコードバンのエイジング日記

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、コードバン製品の経年変化について解説をさせていただきました。

この情報をもとに、コードバン製品の魅力がお伝えできれば幸いです。

なお、コードバンについて総合的にまとめた特集記事もございますので、よろしければご覧ください!

コードバン百科事典