いつも塩原レザーのホームページへお越しいただきましてありがとうございます。
今回は、新たに製作をしたブライドルレザー名刺入れのご紹介です。
福岡県M様よりオーダーをいただいた逸品です!
先日、入荷したばかりの素材のため、革の表面は白く固着したブルームではありませんが、ブルームの素となるグリースで覆われています。
この場合は革の内部に油分や蝋分を多く含んでいるため、若干、柔らかさがあります。
ブルームがキレイに噴き出しているブライドルレザーは、“らしさ”が出ていてそれはそれで壮観な見栄えです。
しかし、長期で考えた場合、きれいにエイジングし繊維の状態も抜群に良いので、総合的な革の評価しては今回のような状態の方が上です!
ブライドルレザー名刺入れの仕様詳細
◇製造国:日本
◇製作者:塩原朋和
◇素材:セドウィック社製ブライドルレザー
◇部位:ショルダー部位
◇カラー:ネイビー
◇ミシン縫製糸:ネイビー(18/20番手)
◇床面仕様:染料なし毛羽立ち処理
◇コバ仕様:染色あり(黒)本磨き加工
◇名刺収納スペース:1か所
◇フリースペース:1か所(蓋の内側)
◇サイズ: 縦約7.5cm×横約11cm(蓋を閉じた際のサイズ)
名刺入れ完成までの製作ストーリー
新たにセドウィック社製ブライドルレザーを使用した特選品名刺入れの製作を開始!
ということで、先日入荷をしてきたばかりの1枚革からパーツ取りをした選ばれし極上パーツです。
入荷してきたばかりのため、まだ革の表面へのブルームの固着は確認できませんが、ブルームの素となるグリースで覆われています。
このまま保管をしていると、半年から1年間ほど経過すると表面は雪が積もったかのように白いブルームで覆われます!
また、上記画像内の右側の小さいパーツは、マチに使用するパーツで前回入荷してきた同素材のため、すでに表面にブルームの固着化が進んでいます。
一見「これ、ブラックじゃないの!?!?」 そう思われる方も多いのではないかと思います。
上記画像はネイビー色の本体外側のメインパーツの上に、同じセドウィック社製ブライドルレザーのブラック色のハギレ革を載せて色味比較をしたものです!
こうしてじっくりご覧いただくと「確かにネイビーだねっ」と聞こえてきそうな印象です。
セドウィック社製ブライドルレザーのネイビーやチョコ、ダークグリーン色は、濃いめの色味となっています。
特に入荷直後は、ブルームの素となるグリースが本来の革の表面に乗っかっているので、より濃く見えます。
ちなみに、上記画像はすべて室内での蛍光灯でかざした画像ですが、太陽光にかざすとより本来の色味が表現できます!
続いて、今回はテクニカルレポートとして、ブライドルレザーの内輪差の解説をしたいと思います!
単刀直入に言いますと、ブライドルレザー素材の貼り合わせによるデメリットについて解説です。
今回の製品は、名刺入れということで巷の製品はすでに蓋が締まった状態で販売されていることが多いと思います。
また、内側には別の素材が貼り合わせてあり、素材の厚みによっては折り曲げによる素材同志の内輪差が発生する場合があります。
しかし、ブライドルレザーは何と言っても、硬く張りのある素材であるため決してそれが最適という訳ではありません。
早速、上記の画像は名刺入れの蓋の内側部分を拡大したものです!
背面側に素材を貼り付けない仕様になっています。
これはなぜか!?!?
答えを先にお伝えするしますと、ブライドルレザーは硬く張りのある革なので、内側に別素材を合わせてしまうと柔軟性がなく革がボロボロになってしまうからです。
早速、実験をしながら試してみます!
上記の画像ですが、ハギレ革を同じ寸法で2枚用意しました。
これを名刺入れの蓋が締まったような形状の湾曲に貼り合わせてみたいと思いますっ
上記のの画像が、湾曲に貼り合わせた画像です!
柔軟性がないため、湾曲させて貼り合わせると5mm程度の内輪差が発生します。
ここからが問題で、実際のご使用をイメージとして、名刺を取り出すために蓋を開けようとフラットのような形状にした場合、外側は延びた素材が縮もうとする力が働きます。
そして、内側の素材は延びようとする力が働きます。
蓋をフラットの形状にしたのが上記の画像です。
こうすると、今度は湾曲した外側のほうに縮む力が働き、縮む特性も持っていないブライドルレザーは、繊維が弱い部分または最も力が加わる部分から、その力を解放しようとする働きが生まれます!
ちなみに、画像はありませんが内側の素材は、若干縮んでいたものが引き延ばされるため、表面に亀裂が入ったような状態になります。
この運動を名刺入れの蓋の開け閉めに例えると、決して折れ曲がる部分は長持ちはせず、劣化が早まり製品自体も長くは使用できません!
実際の市販のブライドルレザー製品の場合は、内側の別素材を一部のみ貼り合わせている場合が多いですが、端のみ接着をしていても同じことが起こります。
塩原レザーでは、より良い状態で長くご使用いただくため、別素材を貼り合わせるのではなく床面は溶剤で磨く伝統的な仕立てる方法を採用しています。
これは伸び縮みする力にも対応できる仕様で、内輪差による問題は起こりません!
では、床面の仕立て作業はどのように行われているのでしょうか!?
ここからは床面を溶剤で加工をしている工程の解説です。
まずは、薄く漉き加工が施された各パーツに溶剤を添付します。
これを全体に馴染ませ、乾く前に磨いていきます。
磨く際はガラス板で余計な溶剤を取り除きながら磨き、革の表面の毛羽立ちを抑えつつ、表面がスムースになるように仕上げていきます。
この溶剤には、糊成分やオイル、水分が含まれていて、艶を出す蝋分も含まれています!
こうして各パーツを1枚1枚加工をして行き、次の工程へと進行していきます。
この工程は時間を要し、溶剤が乾くことで表情が変わるため熟練の職人による作業が必要になります。
一般的に別素材を貼り合わせた製品は、見た目の良さなどから「豪華な製品」と勘違いされがちですが、細かい部分を深堀すると意外そうではありません!
巷の製品のように別の素材を貼り合わせた方が製造時間は早くなりコストも抑えられますが、ブライドルレザー専門店として細部にこだわっている部分です。
完成した名刺入れの画像一覧
オーダーをいただきました福岡県M様、いつも当方へご注文をいただきまして誠にありがとうございます。
本日発送をさせていただきますので、お届けまで少々お待ちください!
定期的にメンテナンスを行っていただき、末永くご愛用いただければ幸いです。
また、ハギレ革を同梱しておりますので、メンテナンス時の手入れ用品のお試し用などとしてご活用ください。
なお、今回ご紹介をさせていただいた名刺入れのご購入をご希望の方は、下記のリンク先にて販売をしておりますのでご参照ください。






















