新たにホーウィンコードバンを使用して二つ折り財布を製作しました。
財布と言えば、この二つ折り財布のデザインを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか!?
実際に世界中でもっとも多く使用されていて、財布デザインの決定版だと言われています。
今回は完成した製品の仕様などに加えて、デザインや使い勝手についてフォーカスを当てて二つ折り財布の魅力を深堀したいと思います。
なお、当サイトへ初めてお越しいただいた方も多いと思います。
当サイトを運営している塩原レザーについて、下記のリンク先にて詳しく紹介をさせていただいておりますのでよろしければご覧ください。
本体外側素材はホーウィン社製シェルコードバン
本体外側は、これ以上ない極上素材であるホーウィン社製シェルコードバンを使用しました。
カラーは、ダークコニャック色です。
このダークコニャック色は純粋なダークブラウンの色味で、色合いに深みがあり品の良さを感じさせるカラーです。
ホーウィンコードバンはオイル仕上げであるため、色の染まり具合がそれぞれのパーツによって異なります。
今回、使用したこのパーツは色味はやや淡い印象で、コードバン特有の光沢感は標準的な風合いです。
また、厚みも1.0mmから2.0mm厚とそれぞれのパーツによって異なりますが、このパーツは1.3mm前後ともっとも二つ折り財布には適した厚みです。
全体的な評価としては、ダークコニャック色の深い色味に高級感があり、コードバン特有のオーラを感じ取れる良いパーツです!
なお、ホーウィン社のコードバンについて、より詳しい特集記事もございますのでよろしければご覧ください。
内側素材はセドウィック社製ブライドルレザー
内側素材は、英国の伝統皮革であるブライドルレザーを採用しました。
本場である英国でも非常に高い評価をされているセドウィック社のブライドルレザーです。
カラーは本体外側のダークコニャック色に一番近い色であるチョコ色を採用!
この色味は外側の色味と同じように深みのあるダークブラウンの色味で、色ムラもなく非常に高級感があります。
そして、ブライドルレザーと言えば、その特徴であるブルームが上記画像のように見受けられます。
革の表面に白くカビのように見えるのがブルームです。
このブルームは革の内部の繊維を良い状態で保つために、水分が外に抜け出さないことと、外からの余分な水分を革に染み込ませないための防水として存在します。
ブライドルレザーはもともとは馬具として開発された革であり、雨が多い英国特有の気候に対応するために、独特の製法で仕上げられた革です!
なお、ブルームについてさらに詳しく解説をした特集記事がございますので、よろしければご覧ください。
二つ折り財布の仕様詳細
今回の二つ折り財布の仕様詳細は以下の通りです。
・製作:塩原朋和 作
・素材:本体外側/ホーウィン社製シェルコードバン、内側/セドウィック社製ブライドルレザー
・カラー:コードバン/ダークコニャック、ブライドルレザー/チョコ
・ミシン縫製糸:ダークブラウン
・床面仕上げ:毛羽立ち処理(染色なし)
・コバ仕上げ:切り目本磨き(染色あり)
・カードスロット:3段3枚収納仕様(カードスロットと小銭入れの後ろ面にカードを横スライドして収納するスペースあり)
・小銭入れホック:フィオッキ社製ギボシタイプ(ゴールド色)
・サイズ:縦約9.5 cm×横約11 cm(二つ折りの際のサイズ)
二つ折り財布のデザインと使い勝手
ここからは冒頭でお伝えした通り、長年愛される二つ折り財布のデザインと使い勝手について深堀して行こうと思います。
今回の二つ折り財布は、内側の片側に小銭入りが付いているタイプで、もっとも定番と言われているデザインです。
このタイプは欧州のトップブランドと呼ばれる高級メゾンから、一般的な革製品メーカーまで定番財布と言われるほど製造されています。
実際にこの二つ折り財布は統計結果によると、財布全体の50%近いシェアがあり最も人気があるデザインです。
ここ10年あまり非常に人気があるラウンドファスナー長財布のシェアが30%前後ですので、いかにこの二つ折り財布が支持されているのかが分かります。
そして、何よりも一過性の流行り的な人気ではなく、長く支持され財布を買い替える際に同じデザインを選ぶユーザーが多いのも特徴です。
これはデザイン的な部分以外にも、使い勝手の良さが人気の下支えをしていると思います!
以下では、デザインや使い勝手などをさらに深堀していきます!
ズボンの後ろポケットに収まるサイズ感
縦横のサイズが約10cmの寸法のこの財布は、ズボンのポケットにもすっぽり収納できることから“バッグを持たない派”の男性陣にも多く支持されています!
厚みについては、収納する量にもよって変わりますが約2cmから2.5cm程度です。
サイズ感の割に各パーツの機能の使い勝手がよく、必要最低限のお金やカードを入れて持ち歩くには十分な収納力を持ちます。
比較的コンパクトなサイズ感でありながら、お札を折り目を付けずに収納できるのも使い勝手が良い証拠です!
デザインを重視した財布は、お札の入れにくさや小銭の出しにくさなど一長一短があります。
例えば、以下のような財布があります。
・全体サイズにコンパクト感を意識した財布:紙幣の幅ギリギリに合わせたお札入れ部分に、お札を入れようとするとスライドすることができず使い勝手が悪い。
・薄さに特化した二つ折り財布:厚みを薄くするために小銭入れの蓋にファスナーを採用した場合、小銭が出しにくく収納力も悪い。
なお、各機能の使い勝手が悪くなると力づくで製品を扱うようになり、革への負担が多くたるため、結果的に耐久性が落ちてしまいます。
このことから使い勝手が良いことは、耐久性が良いことも意味していると言えます!
必要最低限の収納力で使い勝手が抜群
一般的に財布に収納をしている平均的な中身は調査によると以下の通りです。
・紙幣:10枚から最大15枚程度
・小銭:10枚から最大25枚程度
・カード類:合計10枚程度(以下、内訳)
・重要カード:5枚(クレジットカード、銀行カード、運転免許書、健康保険書など)
・必要カード:5枚(店舗会員カード、病院診察券、ポイントカード、名刺など)
上記の結果から平均的な収納力があれば、必要最低限の収納力はあることを意味します。
塩原レザーでは、この数値をもとに使い勝手が悪くならないように製品を一から設計しています!
お札を入れるスペース
二つ折り財布のお札入れスペースは、お札の横幅に合わせるというよりも内側のカード収納や小銭入れに合わせて寸法取りされています。
この場合、一般的なお札入れスペースの横幅は23cm程度になります。
日本円の紙幣の中で一番大きいサイズとなる1万円札の横幅が16cmに対して、お札スペースの端から端まで23cm程度あるため、手首でスライドをしてお札の出し入れができます。
なお、塩原レザーではキャッシュレス化を見据え、お札のスペースの仕切りをなくして厚みを抑える仕様となっています!
一般的な二つ折り財布の縦幅(深さ)は9cmから10cmです。
日本円の紙幣は共通して7.7cmであるため、製品の端から縫製糸までの部分の寸法を差し引いても、お札を収納するには十分な深さがあります。
紙幣の収納は平均して10枚から15枚程度だと言われています。
ここに多くの領収書などを収納してしまうと、厚みが増し深さが足りないこともあると思いますが、整理がされた使い方をすれば収納力は十分だと言えます!
カードを収納するひな壇
カードの取り出しやすさも、使い勝手の良さを左右する大きな要素です。
一般的に二つ折り財布の多くは、内側の左側がひな壇のようにカードを収納できる仕様になっています。
この収納方法は、カードの一部が目視できるため、取り出さなくともそのカードが何のカードかを確認できます。
しかし、カードの収納枚数を多くするために、ひな壇の段数を多くした場合、カードの目視確認がしずらく、さらに出し入れのしにくさが発生します。
また、お札入れスペースと同じようにカードの横幅に対して、ひな壇の幅が狭すぎるとカードの出し入れが行いずらくなるため、製品選びの際は重要な確認すべきポイントです。
塩原レザーではカードが指のひらに触れ、上側にスライドをしてカードが取り出せるように3段に設計して横幅も若干のゆとりを持っています。
ひな壇を4段、5段の仕様にすることもできますが、その場合はカード収納の深さが増し、2本の指でカードをつまんで取り出すことになります。
また、カードの枚数が増えることで厚みも増してくるだけではなく、ひな壇の左右の革が浮き上がり、革への負担が掛かるため耐久性も悪くなります。
結論として一般的なひな壇は、3段程度が最適で指のひらにカードを当てて取り出せるものをおすすめします。
なお、ひな壇には上から使用頻度が高い順番に入れると使い勝手が良くなります。
3段目:クレジットカードなど支払い時に頻繁に使用するカードの収納がおすすめです。
2段目:銀行カードや給油カードなど比較的に使用頻度が高いカードの収納がおすすめです。
1段目:運転免許書や社員書などの持っていなければ困るカードの収納がおすすめです。
1段目は2段目、3段目のカードと革の圧力が掛かり、カード面に対する革の接地面が大きいため一番取り出しにくい場所になります。
そういう意味から1段目はもっとも紛失したくないカードで、観ただけで所持していることが確認できる常に持ち歩きたいカードの収納をおすすめします!
隠れカード収納ポケット
先に紹介をしたひな壇のカード収納スペースには限りがあります。
しかし、3枚の収納では平均的なカード枚数は10枚程度であるため、カード収納場所が足りません。
そこで生きてくるのが、内側の表面にあるカード収納ひな壇と小銭入れの背面側にあるスペースです!
このスペースは、中央から外側に向かってスライド式に収納するタイプが一般的です。
クレジットカードなどのカード類は縦幅が約6.5cmであり、縦幅が9cm程度あるこのスペースは出し入れがスムーズにでき、日常的に使用しないけれど所持しておきたいカードを収納するためには最適な収納場所です。
なお、製品の厚みなどに拘った二つ折り財布は、このスペースがないこともあるので必ず確認を行うべきポイントです!
収納スペースは見開き左右にあるため、各スペース最大5枚程度、合計10枚程度のカードを収納できるのが一般的です。
必要以上にこのスペースにカードなどを収納をすると、表面のひな壇カード収納や小銭入れの使い勝手が悪くなるため、カードの入れすぎには注意が必要です。
小銭入れ
一般的に二つ折り財布の見開き右側は、小銭入れが配置されていることが多いです。
これは利き腕が右手の方が多く、右手で小銭を出し入れしやすいことによるものです。
限られたスペースではあるものの、平均的に20枚程度の小銭を収納するには十分なサイズ感です。
塩原レザーでは、マチが大きくなると収納スペースが減ってしまうデメリットがあるものの、小銭の出し入れのしやすさを重視した設計となっています!
なお、二つ折り財布を選ぶ際のポイントとして、蓋を開いた時に小銭が出しずらい仕様のものがあるので確認する必要があります。
具体的には蓋を開けた時に、蓋が閉まろうとする方に革の向きが向いているものは小銭の出し入れが行いにくいです。
上記の画像は、小銭入れの蓋を開いたものです。
蓋を開けることで、Uの字になっていた革がフラットの状態になり、革が折れ曲ったストレスは解放された状態です。
逆に蓋を開けた時に、革がもとの位置に戻ろうとするような設計の小銭入れは、手で蓋を開かないと中身が見れないため使い勝手が悪くなります。
なお、キャッシュレス化が進む現在において、必要以上に収納力を求める必要はないと判断をして、塩原レザーでは最大で25枚程度の硬貨を収納できるように設計しています!
完成した二つ折り財布
今回、製作をした二つ折り財布は、当サイトにて販売を開始いたしました。
二つ折り財布と言う意味では、巷でよく見かけるデザインの定番財布です。
しかし、この二つ折り財布は希少性が高い素材を使用しており、なかなか巷で見掛ける製品ではないと思います。
そういった意味では価値のある逸品だと思います。
下記のリンク先にて、販売ページも是非ご覧いただければ幸いです。
なお、当方では大量生産ではなく、1品1品拘った製法を用いて製作しています。
上記より、販売ページにて「在庫切れ」となっている場合がございます。
革に在庫がある場合には、同じ仕様にて製作をさせていただきますのでお気軽にお問い合わせください。
また、製品は1週間程度お時間をいただければ発送準備が整います。