屈指の高級皮革であるホーウィン社のシェルコードバンは、希少性やその注目度から様々な話が巷では飛び交っています。
その中でもカラーについては、希少なカラーや新色、廃盤カラーなどが話題になります。
ホーウィン社のコードバンに興味を持ち、これから初めてをその素材を手にされる方もいらっしゃると思います。
そこで今回はホーウィンコードバンのカラーについて、コードバン専門店である塩原レザーの塩原朋和が詳しく紹介したいと思います!
この特集記事を最後までご覧いただきますと、以下の内容が分かります。
- ホーウィンコードバンのカラーについて
- 同じカラー規格でも濃淡差がある
- 定番カラーはブラックと#8
- 希少カラーについて
- カラーの特徴は5分類に分けられる
- 単独系カラーは3色
- ネイビー系カラーは3色
- ブラウン系カラーは3色
- レッドブラウン系カラーは5色
- ナチュラル系カラーは3色
はじめて当サイトへお越しいただいた方もいると思います。
本題に入る前に、この記事を書いている塩原レザーについて簡単にご紹介をさせていただければと思います。
2008年にブライドルレザーの専門店として塩原レザーは創業しました。
2016年からはコードバンを定番素材に加え、ブライドルレザーとコードバンの専門店として運営しております!
コードバンもブライドルレザーも、製造をする業者や仕上げ方法によっても風合いや印象など素材感が異なります。
塩原レザーでは10年以上に渡って製品を毎日のように製作しており、製法にも拘って製品の製作を日々行っております。
なお、塩原レザーについてより詳しいページは下記のリンク先からご覧いただけます。
ホーウィンコードバンのカラーについて
ホーウィン社のコードバンは、世の中にあふれるほど流通しているわけではないため様々な憶測を呼びます。
世の中の口コミサイトやレビューサイトで、カラーについての特徴を記されていることがあります。
しかし、オイル仕上げであるホーウィン社のコードバンは、製造をしてから時間が経過するとオイルが徐々に抜けていく特性があります。
また、もともとはガラス棒などで表面に艶出し加工を施しているため、光沢感が強い素材です。
しかし、時間が経過しオイル分が革の表面に出てくると表面が曇ったり、色味が抜けることがあります!
そのような独特の特徴から財布のような小物製品に加工した場合、1つ1つその時々の状況によって風合いや色味が変わります。
上記より、カラーで製品選びをする際には、毎日のようにその素材を見ている専門店などの信用できる情報を得る必要があります。
今回は、カラーについての解説記事となるため素材感などについて、より詳しい内容は下記の記事をご覧いただければと思います。
同じカラー規格でも濃淡差がある
上記の画像は、上側の2つが#4色で、下側の2つが#2色です。
同じカラー規格でも、同じ色とは思えないほど、その色味具合は異なることがよくあります。
また、日光に照らして見た場合と室内で見た場合や製品を見る角度によっても色味の違いを感じることがあります。
オイル仕上げコードバンは、他の染料仕上げや顔料仕上げと比べて、もともと染まりづらい素材であり色味が抜けやすい素材です。
原因としては複数ありますが新品状態の製品の色ブレは、革が出来上がってから時間経過と共に揮発による色抜けが主な原因です!
ただし、色味が抜ける現象は他の革でも起こる現象です。
靴用のクリーム売り場を見渡すと、色味のついたクリームが販売されています。
これは抜けたカラーの補色と保革をするためのクリームです!
そして、1枚革の中でも色味が濃い部分と薄い部分があります。
ホーウィン社のコードバンは、スプレーなどの機械による染色ではなく手染めをしております。
その染色作業は1回で染めるわけではなく、染めては乾かし、染めては乾かす作業を5回繰り返し革に染色します。
なお、コードバンは革の内部にある層を削り出してできる皮革です。
そのコードバン層まで削りだした繊維の状態や層の変わり目によっても色味の濃淡が出ます。
この色味の濃淡については、天然素材であり手染めで染めているため、多少の色ムラはプラス要因の特徴として捉えていただくことをおすすめします!
ホーウィンコードバンの定番カラー
続いて、ホーウィンコードバンの定番カラーについて解説をします。
基本的に定番として扱われているカラーは、ブラック色と#8色です。
ブラックは、この素材に限らず定番カラーとして世の中に浸透している色味なので、需要の多さによって定番化されているものと思われます。
そして、#8色!
初めて#8と聞いて、色味を想像できる方は少ないのではないかと思います。
#8(ナンバーエイト)は、バーガンディ色のことでバーガンディは分かりやすく言うとワイン色のことです。
ホーウィン社にとってこの#8は伝統カラーで、一部の高級靴では代名詞的な色味として扱われています!
ホーウィンコードバンの希少カラー
インターネットなどの情報の普及によって、ホーウィン社のコードバンは年を追うごとに人気が増しています。
その影響により、定番カラーのブラックや#8色以外のネイビー色などを使用した製品が徐々に増えています。
しかし、まだまだ流通量が極端に少ないカラーのホーウィンコードバンが存在します。
それらのカラーのことを“希少カラー”や“レアカラー”と呼び、その希少性から定価よりも高く取引がされることもあります。
なお、この希少カラーはどの角度からその“希少性”を見るかによって話は変わってきます。
それは単純に流通量が少ないカラーを指すものや、すでに廃盤となったカラーを指すものまで様々です。
例えば、流通量が少ないカラーはインテンスブルー色やウルトラバイオレット色などで、廃盤カラーはウィスキー色などのことを指します。
これまで希少カラーとして扱われていた#4色などは、徐々に見掛けることが多くなりました!
2022年現在において、日本の国内に1枚革で輸入され製品化されることを条件にした場合、希少性で分類すると以下のようになります。
・定番カラー:ブラック、#8
・準希少カラー:ネイビー、グリーン、ダークコニャック、#4、#2、バーボン
・希少カラー:インテンスブルー、デニム、ウルトラバイオレット、アルマニャック、シガー、アマレット、ガーネット、ナチュラル
・廃盤希少カラー:ウィスキー
※上記以外の名称で呼ばれるホーウィンコードバンのカラーがありますが、これは靴メーカーなどがホーウィン社に特注しているものでそのメーカー特有の名称となります。
(例えば、高級靴で有名なALDEN社の「ラベロ」や「マホガニー」など)
カラーの特徴は5分類に分けられる
ホーウィンコードバンは、現状16色程度が世界で流通しています。
そのカラーは、似た色味がない単独系のカラーや同系色のカラーがあり、毎日のように見ている人でも見比べないと分かりづらいことがあります!
そこで、この項目では各系統別にカラーを分けて特徴を解説します!
なお、同じカラー規格でも若干の色ブレガありますが、色味の基準についてはこれまでの経験から標準的な濃淡具合を基準としています。
色ブレの多さを下記のように5段階に分けてご紹介します!
例)色ブレ表:① 2 3 4 5 ※数字が小さいほど、色ブレがないことを意味しています。
また、各カラーの文面の下に製品一覧へのリンクが貼られています。
製品一覧ページにて製品の色味具合を比べて見ていただくことで、色ブレの状態もご確認いただけます!
似た色がない単独系カラー
コードバンに限らず一般的にレザーのカラー展開は、ブラウン系が多いのが特徴です。
その中で、他の系統に属さないカラーはブラック、グリーン、ウルトラバイオレットの3色です。
この3色は、他の系統のカラーとは一線を画す特徴的なカラーだと言えます!
ブラック
特徴:ブラック色は、ごく一般的なブラック色でもともと染め付けやすいため色ブレはほとんどありません。
色ブレ表: 1 ② 3 4 5
なお、ブラック色を使用した製品の販売ページは以下のリンク先よりご覧いただけます。
グリーン
特徴:グリーン色は、ダークグリーンの色味で他のカラーに比べてカラーの揮発性が高い印象です。上記画像の色味が標準的ですが、それぞれ製品によって色味の濃淡が異なる場合が多いです。
色ブレ表: 1 2 3 4 ⑤
なお、グリーン色を使用した製品の販売ページは以下のリンク先よりご覧いただけます。
ウルトラバイオレット
特徴:ウルトラバイオレット色は、濃いめのバイオレット色でホーウィン社では珍しい類の色味です。
色ブレ表: 1 2 ③ 4 5
なお、ウルトラバイオレット色を使用した製品の販売ページは以下のリンク先よりご覧いただけます。
ネイビー系カラー
ネイビー系カラーは、ネイビー色、インテンスブルー色、デニム色の3色です。
このネイビー系カラーの特徴は、ネイビーの色味を軸に濃淡によって名称が異なる印象のカラーリングです。
これはオイル仕上げコードバンの特性上、染まりずらく鮮やかな青の色味の表現は難しいからだと思います。
なお、塩原レザーではデニム色は現状取り扱っておりません。
ネイビー
特徴:ネイビー色は、基本的に濃いめ染められたネイビーの配色で、室内で見るとブラックのように濃い場合があり1品1品若干の濃淡差があります。
色ブレ表: 1 2 3 ④ 5
なお、ネイビー色を使用した製品の販売ページは以下のリンク先よりご覧いただけます。
インテンスブルー
特徴:インテンスブルー色は、日本語に直訳をすると濃青の意味で、ネイビーと見間違うほど濃いめの青色です。
色ブレ表: 1 2 3 ④ 5
なお、インテンスブルー色を使用した製品の販売ページは以下のリンク先よりご覧いただけます。
ブラウン系カラー
ブラウン系のカラーは、ダークコニャック色、アルマニャック色、シガー色の3色です。
このブラウンは、レッドやオレンジなどを混ぜていない色味を意味しています。
ブラウン系カラーの特徴は、ブラウンの色味の濃淡によって名称が異なるカラー群です。
なお、塩原レザーではシガー色は現在取り扱っておりません。
ダークコニャック
特徴:ダークコニャック色は、室内で見ると#8と似た色味ですが、このダークコニャックが一般的なダークブラウンの色味です。また、色味の濃淡は1品ずつ個体差があります。
色ブレ表: 1 2 3 ④ 5
なお、ダークコニャック色を使用した製品の販売ページは以下のリンク先よりご覧いただけます。
アルマニャック
特徴:アルマニャック色は、一般的なブラウンよりも若干濃いめブラウン配色で、ダークコニャック色よりも少し薄めのダークブラウン色ですが、1品ずつそれぞれ個体差があります。
色ブレ表: 1 2 3 ④ 5
なお、アルマニャック色を使用した製品の販売ページは以下のリンク先よりご覧いただけます。
レッドブラウン系カラー
レッドブラウン系カラーは、#8、#4、#2、ガーネット、アマレットの5色です。
また、ホーウィン社のコードバンの中でもっとも豊富に揃っている系統のカラーです。
濃淡が激しい場合には、その規格カラーが分からなくなることもあり、濃淡差によっては他の色と同じような色味になる場合もあります。
なお、塩原レザーではアマレット色は現状取り扱っておりません。
#8(バーガンディ)
特徴:#8色(バーガンディ)は、ホーウィン社の伝統カラーと呼ばれており、愛好家の間ではナンバーエイトと呼びます。その特徴は、その名の通りワインを連想される色味でダークブラウンに赤みを帯びた色味で非常に品のある配色です。
色ブレ表: 1 2 ③ 4 5
なお、#8色を使用した製品の販売ページは以下のリンク先よりご覧いただけます。
#4
特徴:#4は独特の名称ですがブラウンにオレンジを混ぜたような色味です。また#2色と良く似た色味ですが、よりブラウンに近い方が#4色、レッドに近い方が#2色という印象です。
色ブレ表: 1 2 3 ④ 5
なお、#4色を使用した製品の販売ページは以下のリンク先よりご覧いただけます。
#2
特徴:#2は、#8色を薄くしたようなブラウンにレッドを混ぜたような色味で、経年変化で少しずつ色味が濃くなります。
色ブレ表: 1 2 3 ④ 5
なお、#2色を使用した製品の販売ページは以下のリンク先よりご覧いただけます。
ガーネット
特徴:ガーネット色は、#4色と#2色に近い色味ですが、その色味の特徴としては「主張をする独特の赤み」を帯びていて、その名の通り宝石のガーネットのような色味です。
色ブレ表: 1 2 ③ 4 5
なお、ガーネット色を使用した製品の販売ページは以下のリンク先よりご覧いただけます。
ナチュラル系カラー
ナチュラル系カラーは、バーボンとナチュラルの2色です。
その特徴は、もともとの生成り色にもっとも近い色味で経年変化によって飴色へと変色をしやすいカラーです。
また、ナチュラル色には艶出し加工を施したタイプ(グレイズド)と艶出し加工を施していないタイプ(アングレイズド)があります。
艶出し加工を施すことで表面に独特の艶感が出てくるため、同じナチュラルカラー規格であっても別々のカラーのように扱われています。
なお、廃盤となったウィスキー色は、この系統カラーに属する色味でした。
バーボン
特徴:バーボンは、薄めのブラウンで経年変化で少しずつ色味が濃くなります。1品ずつ色味の濃淡差が大きく1つのパーツの中でも濃い分とそうでない部分などが生まれやすい色味です。
色ブレ表: 1 2 3 ④ 5
なお、バーボン色を使用した製品の販売ページは以下のリンク先よりご覧いただけます。
ナチュラル(グレイズド)
特徴:ナチュラル色(グレイズド)は、艶出し加工を施した生成りの素材でカラーリングによる色味の濃淡差はないものの、保管による時間の経過でそれぞれ色味の差を感じることがあります。
色ブレ表: 1 2 ③ 4 5
なお、ナチュラル色(グレイズド)を使用した製品の販売ページは以下のリンク先よりご覧いただけます。
ナチュラル(アングレイズド)
特徴:ナチュラル色(アングレイズド)は、艶出し加工を施していない素上げコードバンのため色味は生成り色で、繊維の状態で色味の差を感じることがあります。なお、艶感も含めて最も経年変化をする素材です。
色ブレ表: 1 2 ③ 4 5
なお、ナチュラル色(アングレイズド)を使用した製品の販売ページは以下のリンク先よりご覧いただけます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ホーウィンコードバンと言っても、いろいろなカラーがあることをお分かりいただけたと思います。
この特集記事をもとに製品選びなどにご活用いただければ幸いです!
なお、コードバンの種類や手入れ方法などについて詳しく解説をした特集記事もございますのでよろしればご覧ください。